2021.1.25
【アーカイブ公開】アーティスト・クロストーク《オンライン》#03 アサダワタル×山川冬樹「会えない日々と、気配のゆくえ」
2020年、新型コロナウイルス感染症の流行により、私たちは「ソーシャルディスタンス」を保たなければならない生活の中で、人と人との「接触」を避けることを余儀なくされてしまいました。もし、私たちがコロナ禍で得たものがあるとしたら、それは、今そこにある「気配」に思いをはせるようになったことではないでしょうか。たまの外出で触れる空気が、特別新鮮に感じられる「気配」、かつて何気なくとっていた他者とのコミュニケーションが、かけがえのないいとおしいものである「気配」。
音まちのプロジェクトの一つである「千住タウンレーベル」のディレクター、アサダワタルは、なかなか収束の見込みが立たない中での「人と人とのつながり」を模索し、千住の文化サロン「仲町の家」で新しい営みをはじめました。ちょっとした想像力で、思考を少し遠くに飛ばすような19の質問に、その場から見えるものや、聞こえてくる音、肌で感じる空気などの「気配」とともに、「声」で答えていただくという、その名も、「緊急アンケート《コロナ禍における想像力調査 声の質問19》」。
今回のクロストークでは、「声の質問19」のディレクターであるアサダワタルと、現代美術家でホーメイの名手である山川冬樹とともに、リモート時代の想像力のありようや、アートにおける人と人との交通の意味について、「声の質問19」の起点である「仲町の家」で、コロナの日常から少しだけ離れた異空間の「気配」を感じ取りながら語り合います。
アーカイブ映像を公開しました!
アートライター白坂由里さんによるレポートはこちらから!
●概要
日時:令和3年2月11日(木・祝)16:30~18:00頃まで
出演:アサダワタル(文化活動家・アーティスト)、山川冬樹(現代美術家・ホーメイ歌手)
モデレーター:
LanaTran(東京藝術大学 大学院国際芸術創造研究科博士課程 熊倉純子研究室)
冨山紗瑛(東京藝術大学 大学院国際芸術創造研究科修士課程 熊倉純子研究室)
視聴方法:音まちYouTubeチャンネルからライブ配信
視聴料:無料(通信料はご負担ください)
※ 内容は変更となる場合がございます。予めご了承ください。
●「アーティスト・クロストーク」について
2020年度に活動10年目を迎える「アートアクセスあだち 音まち千住の縁(通称:音まち)」が企画するトークシリーズです。これまで「音まち」に長く関わってくださったアーティストの方々と、活動の垣根を超えた様々なゲストとが雑談のように語らいながら、トークテーマを掘り下げていきます。
#01、#02の記録動画はこちらからご覧いただけます
※#01「野村誠×Nadegata Instant Party『ひょうたんからこまがでるような話』」
※#02「大巻伸嗣×地域アート? 『アートなんてわかんねぇ!』」
●声の質問19 / 19 VOCAL QUESTIONS について
アサダワタルが、2020年の緊急事態宣言発令期に友人知人に送った音声による質問シリーズをきっかけに開始したコミュニケーション様式。コロナ禍という未曾有の日常を、私的かつ詩的な「質問」で包み込み、テキストではなく「声」のやりとりを通じて、自分と出会い直し、誰かとつながる。2020年秋より、仲町の家を起点に、「緊急アンケート《コロナ禍における想像力調査 声の質問19》」を試行中。
主催:東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、東京藝術大学音楽学部・大学院国際芸術創造研究科、特定非営利活動法人音まち計画、足立区
※ 本事業は「東京アートポイント計画」として実施しています。
山川冬樹(現代美術家・ホーメイ歌手)
1973年ロンドン生まれ。視覚、聴覚、皮膚感覚に訴えかける表現で、音楽/現代美術/舞台芸術の境界を超えて活動。己の身体をテクノロジーによって音や光に拡張するパフォーマンスや、トゥバ共和国の伝統歌唱「ホーメイ」を得意とし、これまでに16カ国で公演を行う。現代美術の分野では、マスメディアと個人をめぐる声の記憶を扱ったインスタレーション『The Voice-over』、自らが発する「パ」という音節の所有権を、一人のアートコレクターに100万円で販売することで成立するパフォーマンス『「パ」日誌メント』(2011~現在)などを発表。ハンセン病療養所(大島青松園)や、帰還困難区域(グランギニョル未来のメンバーとして)での長期的な取り組みもある。ごく最近の発表に、東京湾海上でのライブ・パフォーマンス『DOMBRA』など。https://openwater-mizuhiraku.com/
2019.12.11
<おとどけ!レコード from 千住>第2回 in 埼玉 2019年7月5日(金)開催レポート!
第2回のホストを引き受けてくださったのが埼玉県在住、20代男性の方。
ご友人と手編みをしながらの穏やかな雰囲気のなかでおこなわれました!
それでは、<おとどけ!レコード from 千住>当日の様子をご紹介していきます。
今回は、ホストの方と3名のお友達で開催したクローズドな会でした。
今回、再生された『音盤千住vol.1』のトラックたちは、以下の通り。
Side1——————————————-
1. イントロ
2. 記憶・声・千住
3. さんさ踊り・千住節
4. 千住D-1グランプリ 2017
5. 千住お店の声トラック 伊勢屋さん
6. Sound Portrait_Senju #00002 – Mother’s day-
Side2——————————————-
1. 師匠と囃子
2. tsu-na-ga-ru のボッタ
3. 千住お店の声トラック 鳴門鯛焼本舗さん
4. 電車エレクトロニカ ~北千住駅 大踏切と今~
5. seven clusters
6. さよなら、たこテラス
7. アウトロ
少し世間話をした後で、『音盤千住vol.1』をイントロからかけていくと、 北千住ならではの音をきっかけに、いろいろな話題が生まれていきました。 例えば、Side1の『さんさ踊り・千住節』については「初めて聞いた!」・「このリズムが生活の中で溢れてたんだね〜」など、自分のまちでは体験できない新鮮さを感じさせるコメントや、「かっこいい!」・「すごい!」というコメントも。他にも、同じSide1の『千住D-1グランプリ 2017』では、「八百屋さんの声、あったあった!」・「こういう感じだったね〜」と共感しながら、千住の声、音を通して自分のまちの記憶と繋げていました。
最後は、「自分と音の記憶」をテーマに、参加者の方から「子供の時に友達と二人でこたつに頭を突っ込んで周りの音を探して喋ったよね」といったユニークな「音」の聴き方のエピソードもあがりました。このように多様な「音」の聴き方、探し方はまさに千住タウンレーベルで試みていることでもあります。また、「ラジオごっこしたよ!さ~今日も始まりました~みたいな感じでね、人に聞かせるものじゃないけどね」など可愛いエピソードが出て、最後は「でも自分の声は聞きたくないな」など笑いながら話したところで今回の企画が終了となりました。
開催した参加者の方から「面白い試みだった」・「自分の住んでるまちは電車が高架を走ってるので、踏切の音を聞くことがないので懐かしい」などの感想をいただきました。「もし自分のまちを録音したらどんなアイデアがありますか?」という質問に対しては、「小学生の下校時に街に流れるアナウンスが独特なので、録音したら面白そう。」という意見も出ていました。『音盤千住』を通じて、参加者自身の育ったまちを再発見していると言えるかもしれません。
<おとどけ!レコード from 千住>ではさまざまな地域にこの活動が届いてくように日本全国からホストになってくださる方を募集しています。オープンの場でも、今回のようなクローズの場でも、開催方法は問いません!地域の音を録音した『音盤千住vol.1』をぜひ、あなたのまちで聞いてみてください。
ご応募お待ちしております!
▼こちらから、<おとどけ!レコード from 千住>の開催レポートをご覧いただけます。
<おとどけ!レコード from 千住>
第1回東京都江東区清澄白河・gift_lab GARAGE 2019年2月23日(土)開催レポート!
▼<おとどけ!レコード from 千住>の応募方法
「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」事務局
千住タウンレーベル担当宛に<おとどけ!>レコードの貸し出し希望、とお伝えください。
TEL 03-6806-1740(13:00 ~ 18:00、火曜・木曜除く)
E-MAIL info@aaa-senju.com
詳細はこちらをご覧ください!
※ 個人情報は厳重に管理し、本事業の運営およびご案内のみに使用します。
2019.10.1
聴きめぐり千住! Vol.2 『音盤千住 Vol.2』レコ発企画
このまちの生活音や 人びとの声が、 まるで「音楽」になる一日。
『音盤千住 Vol.2』のリリースを記念し、レコ発イベントを開催します!
この秋、千住タウンレーベルは『音盤千住 Vol.2』をWEBリリースしました。アルバムを制作しているのは、10組のタウンレコーダー(音の記者)たち。そして、そのテーマは、ひとえに「千住」というまちです。駅のアナウンスやこどもたちの遊び声、夜の飲み屋横丁の雑踏やお囃子など、ふと風景が目に浮かぶような全13曲が収録されています。「 聴きめぐり千住! Vol.2」では、これらのトラックを、制作の舞台となっている「現地」(トラックポイント)をめぐりながら聴いていただきます。各地で演奏者や語り手、タウンレコーダーに出会いながら、この場所・この時間でしか味わえない「音体験」と「まち体験」の重なりを、ぜひお楽しみください。
日程:令和元年11月17日(日) 10:00-18:00
受付:仲町の家(東京都足立区千住仲町29-1)
会場:千住地域各所
料金:無料(事前申込優先・先着順)
■「聴きめぐり千住!」の1日のながれ
<予習 イベントの前に『音盤千住 Vol.2』を聴いておく>
『音盤千住Vol.2』を音楽配信サイトBandcampでリリースしました!どなたでも無料・登録不要で、タウンレコーダーが千住のまちの音をもとに制作した音源13曲を聴くことができます。
『音盤千住 Vol.2』を聴く
↓
<① 千住に来て、仲町の家でマップと聴きめぐりキットを受け取る>
受付開始:PlaySide 1 10:00~(定員:50組)/PlaySide 2 13:30~(定員:50組)
受付場所:仲町の家(東京都足立区千住仲町29-1)
音でまちを楽しむための道具と合わせて、ディレクターのアサダワタルからイベントの楽しみ方を伝授!
まずは仲町の家の受付にお越しください!
↓
<② トラックポイントをめぐる+あなただけのアルバムを即興制作する>
時間:PlaySide 1 10:30~13:00/PlaySide 2 14:00~16:30
場所:千住地域各所
『音盤千住Vol.2』に収録された音源にまつわる拠点(トラックポイント)をこの日限定でオープンします。トラックポイントでは、アルバムに収録された音源をそのまま聴くだけでなく、ライブやワークショップなどを展開する予定です。また、イベント当日限定のボーナストラックとして、タウンレコーダーが千住で収集してきた音源も特別に披露します! また、「聴きめぐりキット」の中にはテープレコーダーも入っているので、録音をしながらトラックポイントをめぐるのもよし! まちの音を録りながら自分だけの「ライブアルバム」を つくってみてください。「ライブアルバム」は希望者の方に後日郵送いたします。
※Play Side 1、Play Side 2では聴くことのできるトラックが異なりますので、通しでの参加がおすすめです。
↓
<③ Listening Talkで1日をふり返る>
時間:17:00-18:00
場所:仲町氷川神社(東京都足立区千住仲町48-2)
出演:アサダワタル(千住タウンレーベルディレクター)、大石始(ライター/エディター)、大城真(オーディオエンジニア)、ミネシンゴ(夫婦出版社「アタシ社」代表/編集者)、ほか
1日の終わりにはListening Talkと称して、観客のみなさんと千住タウンレーベルのメンバーが「聴きめぐ」った1日の感想、そして千住の魅力や音楽によるユニークなコミュニケーションの未来についてをざっくばらんに話し合います。
■お申し込み・お問い合わせ
[WEBフォーム]お申し込みはこちらから
[お電話]03-6806-1740(13:00~18:00、火曜・木曜除く)
[メール]info@aaa-senju.com
件名を「聴きめぐり千住!」とし、代表者氏名(ふりがな)、参加人数、ご連絡先(電話番号・メールアドレス)、参加プログラム(①Play1②Play2 ③LTより複数選択可)をお伝えください。
※「info@aaa-senju.com」からのメールを受信できるように設定してください。
※個人情報は厳重に管理し、本事業の運営およびご案内にのみ使用します。
※プログラム内容は変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。
「聴きめぐり千住!Vol.2」のチラシはこちらから
2019.6.17
<おとどけ!レコード from 千住>第1回 東京都江東区清澄白河・gift_lab GARAGE 2019年2月23日(土)開催レポート!
<おとどけ!レコードfrom千住>初回のホストを引き受けてくれたのは、東京都江東区にあるgift_lab GARAGE。清澄白河駅前すぐの、清洲寮という昭和初期建造の趣ある建物の1階にあるスペースです。gift_lab GARAGEにはギャラリーとカフェが併設されており、年間を通してさまざまなイベントや展示を行っています。
この場所を主宰するのは、デザイナーの後藤寿和さん。空間デザイナーとして活躍する傍ら、新潟県十日町市に「山ノ家カフェ&ドミトリー」をオープンするなど、場づくりの実践を行ってきた方です。また、サウンドアートへの造詣も深く、2017年には東京都現代美術館のサテライト企画として<ラジオ往来往来>の立ち上げにも関わられています。こうした縁が重なり、千住タウンレーベルには、アドバイザーという形で参加していただいています。
後藤寿和さん。2019年1月に開催した千住タウンレーベルの<デモ音源発表会>にて撮影。
写真:冨田了平
それでは、<おとどけ!レコードfrom千住>の当日の様子を、参加したお客様6名の感想を少しずつ交えながら、紹介したいと思います。gift_lab GARAGEでは、『音盤千住Vol.1』の鑑賞会という形で進行されたようです。
『音盤千住』に収録され、イベントで再生されたトラックたちは、以下の通り。
Side1——————————————-
1. イントロ
2. 記憶・声・千住
3. さんさ踊り・千住節
4. 千住D-1グランプリ 2017
5. 千住お店の声トラック 伊勢屋さん
6. Sound Portrait_Senju #00002 – Mother’s day-
Side2——————————————-
1. 師匠と囃子
2. tsu-na-ga-ru のボッタ
3. 千住お店の声トラック 鳴門鯛焼本舗さん
4. 電車エレクトロニカ ~北千住駅 大踏切と今~
5. seven clusters
6. さよなら、たこテラス
7. アウトロ
『tsu-na-ga-ruのボッタ』をレコーディングしたときの様子(2017)。ボッタは千住地域で親しまれていた駄菓子のひとつで、一般的にもんじゃとは異なり、水と小麦粉を溶かしたものでほとんど具材は入っていない。
写真:小野澤峻
中でもSide2の2曲目『tsu-na-ga-ruのボッタ』を聴いて印象に残ったという方は、「ボッタの音を聞いていて、食器がぶつかる音をきいただけでもお腹が空いた…」という感想を話してくださりました。これは「人は視覚が中心だと思っていたけど、音を聴いていて、意外と風景が立ち上がるものだなと思った」や「音だけで聴くと想像の余地が膨らんで、視覚よりもリアリティがあると思った」などと、このLPを聴いて自身の感覚について改めて考えた、という参加者の反応につながります。
2019年2月gift_lab GARAGEでの<おとどけ!レコードfrom千住>の様子。
また、参加者自身が住んでいるまちの記憶・歴史的な情報に基づく音、あるいはこういう音は残しておきたいというアイデアも多く見受けられました。例えば、「知り合いに「江戸弁」を使う人がいるが、その人にインタビューして標準語に書き直してもその人らしさが伝わらないので、録音という形で語り手の言葉を残せるといいなと思った」というエピソードや、「長野の田舎に住んでいるので喧騒のような音風景はないけれど、お寺の鐘が17時になったり、鳥のさえずりがよく聞こえる」といったコメントは、『音盤千住』が身近な生活音に意識を向かせるきっかけになった証と言えるのではないでしょうか。
一方で、ホストの後藤さんは、「バラエティに富んでいて非常に面白かった!」「比較的記録のような実直的な風景音(場所やそれにまつわる音)などを想定していたが、もっと創造性があって驚いた」「ラジオのコンテンツのようなものは聴いていて楽しく、すっと入って来たが、環境音だけのものは意味が掴みづらかった」といった感想が印象に残ったと話しています。
土地と強く結びついたレコードだからこそ、各地でこれまで縁もゆかりもなかった(かもしれない)千住地域の音を再生する行為が「自分のまち」に新たな文脈を与えるきっかけになるかもしれません。みなさまからのご応募をお待ちしております!