<おとどけ!レコード from 千住>第1回 東京都江東区清澄白河・gift_lab GARAGE 2019年2月23日(土)開催レポート!
<おとどけ!レコードfrom千住>初回のホストを引き受けてくれたのは、東京都江東区にあるgift_lab GARAGE。清澄白河駅前すぐの、清洲寮という昭和初期建造の趣ある建物の1階にあるスペースです。gift_lab GARAGEにはギャラリーとカフェが併設されており、年間を通してさまざまなイベントや展示を行っています。
この場所を主宰するのは、デザイナーの後藤寿和さん。空間デザイナーとして活躍する傍ら、新潟県十日町市に「山ノ家カフェ&ドミトリー」をオープンするなど、場づくりの実践を行ってきた方です。また、サウンドアートへの造詣も深く、2017年には東京都現代美術館のサテライト企画として<ラジオ往来往来>の立ち上げにも関わられています。こうした縁が重なり、千住タウンレーベルには、アドバイザーという形で参加していただいています。
それでは、<おとどけ!レコードfrom千住>の当日の様子を、参加したお客様6名の感想を少しずつ交えながら、紹介したいと思います。gift_lab GARAGEでは、『音盤千住Vol.1』の鑑賞会という形で進行されたようです。
『音盤千住』に収録され、イベントで再生されたトラックたちは、以下の通り。
Side1——————————————-
1. イントロ
2. 記憶・声・千住
3. さんさ踊り・千住節
4. 千住D-1グランプリ 2017
5. 千住お店の声トラック 伊勢屋さん
6. Sound Portrait_Senju #00002 – Mother’s day-
Side2——————————————-
1. 師匠と囃子
2. tsu-na-ga-ru のボッタ
3. 千住お店の声トラック 鳴門鯛焼本舗さん
4. 電車エレクトロニカ ~北千住駅 大踏切と今~
5. seven clusters
6. さよなら、たこテラス
7. アウトロ
中でもSide2の2曲目『tsu-na-ga-ruのボッタ』を聴いて印象に残ったという方は、「ボッタの音を聞いていて、食器がぶつかる音をきいただけでもお腹が空いた…」という感想を話してくださりました。これは「人は視覚が中心だと思っていたけど、音を聴いていて、意外と風景が立ち上がるものだなと思った」や「音だけで聴くと想像の余地が膨らんで、視覚よりもリアリティがあると思った」などと、このLPを聴いて自身の感覚について改めて考えた、という参加者の反応につながります。
また、参加者自身が住んでいるまちの記憶・歴史的な情報に基づく音、あるいはこういう音は残しておきたいというアイデアも多く見受けられました。例えば、「知り合いに「江戸弁」を使う人がいるが、その人にインタビューして標準語に書き直してもその人らしさが伝わらないので、録音という形で語り手の言葉を残せるといいなと思った」というエピソードや、「長野の田舎に住んでいるので喧騒のような音風景はないけれど、お寺の鐘が17時になったり、鳥のさえずりがよく聞こえる」といったコメントは、『音盤千住』が身近な生活音に意識を向かせるきっかけになった証と言えるのではないでしょうか。
一方で、ホストの後藤さんは、「バラエティに富んでいて非常に面白かった!」「比較的記録のような実直的な風景音(場所やそれにまつわる音)などを想定していたが、もっと創造性があって驚いた」「ラジオのコンテンツのようなものは聴いていて楽しく、すっと入って来たが、環境音だけのものは意味が掴みづらかった」といった感想が印象に残ったと話しています。
土地と強く結びついたレコードだからこそ、各地でこれまで縁もゆかりもなかった(かもしれない)千住地域の音を再生する行為が「自分のまち」に新たな文脈を与えるきっかけになるかもしれません。みなさまからのご応募をお待ちしております!