「千住・縁レジデンス」地域審査員インタビュー
今回は審査にご参加頂いた、地域審査員の方々のインタビューをお届けいたします。
実際に千住に住み、千住の移り変わりをみてきた方々には、今回のオープンコンペティションはどのように映ったのでしょうか。
【第4回】地域審査員
櫟原文夫さん(NPO法人千住文化普及会 理事長)
Q.今回、地域審査員の依頼を受けられた際、どのように思われましたか?
少しでも何かみなさんが千住を縁(ゆかり)として、アーティストの人たちにプラスになるようなことができたら面白いな、いいなという趣旨だと聞いたので、これは協力しなければいけないだろうと思いました。最近の私のライフワークの一つでもあるので、「いいよ!」と引き受けさせていただきました。
Q.実際、当日の審査に参加してみていかがでしたか?
アーティストっていうと、一般人からすると、ちょっと風変わりな人が多いような感覚を持っていましたが、もともと私は音まちの人たちとの繋がりもあったので、非常に馴染みやすい、違和感なく、非常に正直なプレゼン、ナイーブなプレゼンだったかなと。私が身構えていた“アーティスト”の人たち、というようなプレゼンではなくて、スムーズにお話を聞けました。
その中でも、やっぱり「さすがだな〜」と思うようなところがあり、すごく楽しかったです。
Q.自分たちが「迎える」アーティストという視点で選ばれましたか?
いや、地域審査員ということだったので、「地域にとっていい人」を選ばなければならない審査員でしょ?私はそういう役割だなと思って、そういう目で、そういう耳で、そういう感覚でみなさんのプレゼンを聞かせていただきました。
Q.これからどういうスタンスで関わりたいですか?
「勝手にやって」欲しいです。私が関わって、アーティストの人たちに「千住はこんなまちだ」という先入観をできるだけ与えたくない。むしろ、先入観を排除してもらいたいです。現代のアウトサイダーという目で千住を見たときに、例えば友政さんのなかで路地というものはプライベートとパブリックな面が交差するところだとおっしゃられていた。これを、アートでどのように表現するのか。これが明日からの千住だと思っています。今までも、マスメディアが色々な千住を紹介していて、「千住はこんなところだ」と表現されているが、それはもう「過去」のもの。でも、明日からは、彼女、彼らがいうような新しい視点で千住を表現してくれる。それが、千住の明日からのスタートなんだと、期待しています。そういうことを音まち、そして千住・縁レジデンスで実現して欲しいと思います。これからの千住を「記憶」して、「記録」して、平成の千住というものを、創造していってくれればと期待しています。
松本康一(タカラ湯 代表)
Q.今回、地域審査員の依頼を受けられた際、どのように思われましたか?
なんというか、一介の銭湯を営業しているものですからね。千住に思い入れはあるけれど、人を選ぶような、そこまでのものではないので、びっくりしました。私でいいのかな?って。
Q.実際、当日の審査に参加してみていかがでしたか。
プレッシャーはありました。アーティストの人たちは甲乙がつけがたくて、本当にみなさんいい方でした。そして、千住に対する情熱をひしひしと感じましたね。
その中でも、特に久保さんの情熱が伝わって、ぜひ素晴らしいお化け煙突を再生していただけたらと思います。
友政さんは、私も千住に何十年も住んでいるのですが、全く新鮮な目でどういった千住を描き出していただけるのか、とても楽しみです。
Q.自分たちが「迎える」アーティストという視点で選ばれましたか?
そうですね。
ここに住んでいる人、ずっと暮らしている人は、千住の魅力っていうものにあまり気がついていない。路地があって、土手があって・・・それが当たり前になってしまっているんです。千住は島国みたいなものですからね。だから千住の魅力っていうものに、みなさんなかなか気がつかない。
でも、外から見ると、古い街並みも残っているし、荒川の土手って、いつ行っても運動できるし、そういうまちの魅力を外部の人が掘り起こしてくれて、そこに今住んでいる人がさらに再認識する。北千住というイメージが昔と変わってきている、外から来た人が新しい北千住のイメージを作ってくれている。
駅の乗降客が国内で6番目、ってことは世界でも6番目。色々な人が行き交うまちになってきたんですよね。
芸術と縁がなかった場所で、芸術と接点ができたというのは、足立区民にとって本当に「誇り」です。外からの力というのはとても大きいと思います。
そういう視点は持っていましたね。
Q.これからどういうスタンスで関わりたいですか?
うちでできることがあればぜひ、と思っています。
少しでも町おこしとかの一助になれば、審査員を引き受けさせていただいた甲斐があるというものです。
インタビュー日:2015.08.08
(撮影:松尾宇人)
いよいよ、来年の1月からアーティストのおふたりの展示が随時始まります!
滞在制作の成果をお楽しみに!!