千住・縁レジデンス制作日誌 久保ガエタンvol.1
「おばけ煙突のかけら、頂けました!」
はじめまして!
9月より「千住・縁レジデンス」プログラムで千住に滞在しているアーティストの久保ガエタンと申します。
オープン・コンペにいらした方はご存知でしょうが、私はおばけ煙突を軸にア−ティスト・イン・レジデンスのリサーチをしています。
出典:http://s.webry.info/sp/tansaisuketti.at.webry.info/201105/article_2.html
ところでみなさまはおばけ煙突をご存知でしょうか?
おばけ煙突とは、1926年から1963年まで千住桜木で稼働していた千住火力発電所のことで、発電所の煙突からたまに煙がでることや、見る角度によって煙突の本数が4本から1本にまで変わる姿がおばけのようであることから「おばけ煙突」と呼ばれていました。
千住のランドマークとして親しまれていたこのおばけ煙突は解体後、煙突の半円を使って同地にあったの元宿小学校の校庭にある滑り台として生まれ変わり、親しまれてきました。
しかし、同小学校が千寿第三小学校と統合したため、現在滑り台はさらに形を変え、同地に建てられた帝京科学大学のモニュメントとして生まれ変わっています。
出典:http://tokyozappa.exblog.jp/10023365/
こうしてお化け煙突が幾度も生まれ変わる姿自体に、お化け(機械の中にいる幽霊)を感じた私は、煙突の一部を使った陶器をつくることで、もう一度おばけ煙突を輪廻させようと思いました。
千寿の子ども達が校庭で煙突と触れ合っていたように、もう一度お化け煙突を人々が触れて親しむことができる食器(陶器)に輪廻をさせ、煙突を通した食事をすることによって、「個人的な千寿の思い出」から「近代化の象徴」を食し、縁を結ぶことを試みたいと思っています。
そのためには、お化け煙突のかけらを頂き、そのかけらを使って煙突の陶器をつくらなければいけません。
そんなこんなで、レジデンスの活動を始めた私ですが、今回は日誌の第一弾として、お化け煙突のかけらを頂きに行った様子をご紹介致します。
まず、音まち千住の事務局スタッフ、足立区、帝京科学大学に本案件をご相談をし、モニュメントがある帝京科学大学にてお化け煙突モニュメントの設営当時の様子、設計図、現状等を詳しく教え頂きました。
大学での打ち合わせによって、お化け煙突のモニュメントは平成22年に一旦塗装を剥離して、錆止めをしてから塗装を塗り直したものであることがわかりました。
また塗膜が剥がれている部分が多くあるため、剥がれている部分を拾わせていただけることになりました。
お化け煙突のモニュメントは上下に分断されている2つの半円のパーツでできており、上半分が当時の煙突を再利用した滑り台を使って作られたもので、特別に許可を頂き、脚立にのって触れさせていただき、また、煙突の剥がれているかけらをいただきました。
かけらをゲットした後は大学の安くておいしい学食をいただき、今後の打ち合わせをしました。
実際にモニュメントを前にするとその大きさに驚きます。当時これだけの大きな直径で、83Mの煙突が4本もあったと思うと圧倒的です。
帝京科学大学(住所〒120-0045 東京都足立区千住桜木2丁目2−1)の前にあるモニュメントは一般公開されており、隣には説明書きや、1:20の煙突の抽象模型があり、本数が変わる様子を楽しむこともできます。
隣には東京電力足立営業センターさまもあり、煙突の写真や模型を見せていただきました。
皆様も千寿散策プランの訪問先の一つとしてご覧になってみてはいかがでしょうか?
久保ガエタン