2014 04 06
【記録】大巻伸嗣「Memorial Rebirth 千住」
無数のシャボン玉によって、見慣れたまちなみを光の風景へと変貌させるアートパフォーマンス作品。千住地域をリレーしながら、参加者の輪を広げ、さまざまな縁をつなげていく。
初めての開催は、雨の降る肌寒い3月だった。近所に住む子供たちが色とりどりのレインコートに身を包み、会場の千住いろは通り商店街を訪れ、雨空に透き通るシャボンに彩りを加えてくれた。冷たい雨の中、何より集まった人々の笑顔に心が温まる、かつての賑わいの記憶が蘇るひと時。
現代美術家の大巻伸嗣による「Memorial Rebirth(メモリバ)」は、無数のシャボン玉で見慣れた景色を変貌させ、記憶を呼び起こし、新たな記憶を創り上げるアートパフォーマンス作品である。これまで国内外のさまざまな場所で展開されてきたが、大巻は千住での「メモリバ」は一度きりにはせず、地域から地域へリレーのバトンのようにつないでゆくことを願った。回を重ねるごとに、縁が結ばれていきますように―。
1年目は千住で初めての試み。右も左もわからない「音まち千住の縁(音まち)」のスタッフはいろは通り商店街をはじめ、多くの地域の方々に支えられながら準備を進めていった。“千住で「メモリバ」をリレーする”というイメージを抱えて臨んだ2年目、地元の人と一緒に選んだ場所は、千寿本町小学校の校庭。いろは通り商店街から、小学校近くの千住五町会へ、メモリバの「引き渡し式」も開催された。この年は、「シャボン玉+盆踊り=しゃボンおどり」なる新たなアイディアが登場。盆踊りの盛んな千住で、もっと参加者同士がひとつになれるようにという大巻の発案から、新しい盆踊りを制作した。振り付けは、東京藝大の卒業生のグループ「くるくるチャーミー」と千住の日本舞踊の先生が協働で行い、シャボン玉を追いかけたりつかまえたりする振りの、世界にひとつだけの盆踊りが完成した。
千寿本町小学校の校庭には、中央に大きなクスノキが生えている。その木を囲むように、会場いっぱいに広がるしゃボンおどりの輪。光を受けて色とりどりに染まるシャボン玉に包まれて、晴れやかな空に、みんなの記憶が昇っていくようだった。
2013年の第3回。回を重ねるごとに新たな挑戦を続ける「メモリバ」。今回のチャレンジは、夜の開催だった。常東地区での開催で、千住の東側と西側がひとつになる1日を生み出す大きなチャンスにしようと、前回の踊り手の方々に加え、新たに常東地区の踊り手のみなさんにも声をかけた。
また、シャボン玉と踊る人々を照らし出すため、千住にある東京電機大学の井筒正義先生と学生たちに協力を依頼し、夜の校庭と校舎にプロジェクターで映像を投影する共同企画が実現。投影する映像は、ワークショップを開催し、公募で集まった参加者が「私の千住」をテーマに撮影した写真を使って制作した。
そして開催当日。宵闇に輝く無数のシャボン玉の中で、輪になって踊る人々。夜の校舎や校庭一面に投影される映像は、シャボン玉をさまざまな色模様に照らし出し、夜の「メモリバ」をより華やかに賑やかに彩った。
Memorial Rebirth 千住いろは通り
2012年3月17日/会場=千住いろは通り商店街/音楽=安野太郎、新見桂子
Memorial Rebirth 2012 千住本町
2012年11月24日/会場=足立区立千寿本町小学校 校庭/協力=くるくるチャーミー (大西健太郎、富塚絵美、松岡美弥子)、日本舞踊師匠 山口静江、新舞踊 枝川みつよ、千住五町会のみなさま
「Memorial Rebirth 千住 2013 常東」映像作りワークショップ
2013年9月28、29日/会場=東京電機大学東京千住キャンパスほか/協力=東京電機大学未来科学部ロボット・メカトロニクス学科
Memorial Rebirth 千住 2013 常東
2013年10月19日/会場=足立区立千寿常東小学校/協力=阿部初美、おかめひょっとこ元気連、ガーディアンシップ北千住、学園通り商店街、くるくるチャーミー(大西健太郎、角銅真実、田中文久、富塚絵美、松岡美弥子)、千住旭町会、千住旭町自治会、千住東町町会、千寿常東小学校PTA、千寿常東小学校開かれた学校づくり協議会、東京電機大学未来科学部ロボット・メカトロニクス学科、花実会、日ノ出町自治会、柳原北町会、柳原西町会、柳原東町会、柳原南町会、柳原有志の桜会
2013 11 19
【記録】 『Memorial Rebirth 千住 2013 常東』
開催:平成25年10月19日(土) 昼の部 16:00~16:30/夜の部 19:00~19:30
会場:足立区立千寿常東小学校 校庭
入場無料
協力:阿部初美、おかめひょっとこ元気連、ガーディアンシップ北千住、学園通り商店街、
くるくるチャーミー(大西健太郎、角銅真実、田中文久、富塚絵美、松岡美弥子)、
千住旭町会、千住旭町自治会、千住東町町会、千寿常東小学校PTA、
千寿常東小学校開かれた学校づくり協議会、東京電機大学未来科学部ロボット・メカトロニクス学科、
花実会、日ノ出町自治会、柳原北町会、柳原西町会、柳原東町会、柳原南町会、柳原有志の桜会
(敬称略、五十音順)
千住で3回目となる『Memorial Rebirth 千住』(通称:メモリバ)は、
昨年度までの開催地域である北千住駅の西側と今年度の開催地である東側が、
より積極的に交流を持てる場をつくりたいと、新たな挑戦を様々に取り入れながら、
千寿常東小学校の校庭に舞台を移した。
今回は、「しゃボンおどり」に、新たにまちの記憶を織り込んだ歌詞を制作。
メモリバの企画・運営を支える有志ボランティア“大巻チーム”が自らの足でまちを歩いて集めた言葉を、
演出家・阿部初美が歌詞にまとめあげた。会場に集うすべての人の記憶をのせて、
誰もが気軽に口ずさむことのできるあたたかい歌がここに誕生した。
また、千住で初めての試みとして、夜のメモリバを開催。薄暗い中、人々が夢中になって
「しゃボンおどり」を踊る輪には熱が宿り、照らされたシャボン玉がキラキラと
輝きながら夜の空に昇っていく様子は、この空間に生まれた新たな記憶が空へ広がるようだった。
会場では「しゃボンおどり」の音楽を生演奏で披露し、参加者の一体感がより深まった。
この他に、夜の部の開催にあたりワークショップを行って映像を制作し、
校庭・校舎に投影するなど、今年のメモリバは、より千住らしさを纏い始めた年になった。
挑戦の多いメモリバだが、これまで結んできた縁を生かし、新たな縁がまたここから生まれている。
しゃボンおどりの歌 作詞:阿部初美+大巻チーム
【サビ】
ふわりふわり ほらきえないで
きらりきらり きみにふってくる
あそぼあそぼ ほらみていてね
ひかる 負けずぎらい つかまえて (ほい)
【Aメロ】
荒川 ひろがる 河川敷 橋をこえて
レモンのかたちの千住にお嫁にきました
【Bメロ】
都電 見送った 花電車
遠く 見えた 白い煙突
踊る 春は 桜の並木
今日も ひびく やっちゃ場の声
【サビ】
ふわりふわり ほらきえないで
きらりきらり きみにふってくる
あそぼあそぼ ほらみていてね
ひかる 負けずぎらい つかまえて (ほい)
【関連事業】
「Memorial Rebirth 千住 2013 常東」映像作りワークショップ
開催:平成25年9月28日(土)・29日(日) 14:00~16:00
会場:東京電機大学東京千住キャンパス
協力:東京電機大学未来科学部ロボット・メカトロニクス学科
『Memorial Rebirth 千住 2013 常東』の19時の回で、
校庭と校舎の壁面に映像を投影する構想を実現するに当たり、
東京電機大学未来科学部ロボット・メカトロニクス学科の協力で、
映像制作のためのワークショップが開催された。2日間のワークショップでは、
公募で集まった参加者とともに“私の千住”をテーマにまちを歩きながら写真を撮影。
その1枚1枚をひとつのスライドショーにまとめあげ、本番では大型プロジェクターで
校庭と校舎に映し出し、『Memorial Rebirth 千住』における初めての夜の部を彩った。
1日目、参加者はまちで撮りたいものを探しています
2日目、撮った写真からベストショットをみんなで選んでいます
みんなで作った映像は地面に映っています
人、踊り、映像、シャボン玉のコラボレーション
映像作りワークショップで作った映像もぜひご覧ください。
2013 09 12
「Memorial Rebirth 千住 2013 常東」
日程:平成25年10月19日[土] 16時― /19時― (各回30分前開場)
※各回30分程度 / 雨天時は内容変更
会場:足立区立千寿常東小学校 校庭[足立区千住旭町 10-31]
アクセス:北千住駅(東口)から徒歩約 5 分
料金:無料
※内容変更の場合は10月19日(土)当日 音まち公式ウェブサイト(http://aaa-senju.com)にて告知
最後に、シャボン玉を飛ばしたのはいつですか。どこで遊びましたか。どんな風が吹いていましたか。そのとき、隣には誰がいましたか。千住で3回目の「Memorial Rebirth」、今年は初めて夜にも開催します。暗闇の中に浮かぶ光の空間は、まだ誰も見たことのない風景。歌って、踊って、輪になって、みんながひとつになったとき、そのすべてがこのまちに新たな記憶を刻みます。無数のシャボン玉に包まれて、一生忘れられない一日をつくりませんか。
2013 09 12
「Memorial Rebirth 千住 2013 常東」 映像作りワークショップ
今年の「Memorial Rebirth」では、初の試みとして、大型プロジェクターで夜の校舎や校庭一面に大きく映像を映し出します。その素材をみんなで集める連続ワークショップを開催します。“私の千住”をテーマに、参加者のみなさんと千住のまちを歩き、写真を撮ります。それを持ち寄ってひとつの映像(スライドショー)を作り上げます。
こんな方はぜひ!
・写真を撮るのが好きな方
・千住にご縁のある方
・映像作りに関心のある方
日程:平成25年9月28日(土)・29日(日)各日14時―16時(集合は10分前)
【1日目(28日)】まちで写真撮影
【2日目(29日)】編集(2日間通し ※29日は大巻伸嗣も参加予定)
雨天決行/1日目(28日)のみ荒天順延(順延の場合は、29日に撮影・編集とも実施)
※順延の場合は9月28日(土)12時までに音まち公式ウェブサイト(http://aaa-senju.com)にてお知らせいたします。
会場:東京電機大学 東京千住キャンパス(東京都足立区千住旭町5)
※各日10分前に「1号館前」に集合して教室へ移動
アクセス:北千住駅(東口Iから徒歩1分
料金:無料 (要申込・先着25人)
講師:東京電機大学未来科学部ロボット・メカトロニクス学科 学生スタッフ
参加条件:
・小学生以上の方(小学校低学年のお子様は保護者と一緒にご参加ください)
・2日間通しでご参加いただける方
※写真経験不問
持ち物:
・帽子などの日よけ対策
・飲み物
・雨具
・デジタルカメラ(スマートフォンでも可) ※お持ちでない方には貸し出します。
<動きやすい服装・靴でお越しください>
応募方法:
応募受付を終了いたしました。たくさんのご応募ありがとうございます。
締切:9月26日(木)
お問い合わせ:
「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」事務局
〒120-0022 東京都足立区柳原2-20-9 音う風屋(おとうふや)
Tel 03-6806-1740 [13~18時(火曜・木曜除く)]
Web http://aaa-senju.com
Mail info@aaa-senju.com