2014 04 06
【記録】野村誠「千住だじゃれ音楽祭」
だじゃれ(駄洒落)から生まれる新たな音楽「だじゃれ音楽」の可能性を探求するプロジェクト。“駄”こそが大事なんだ!とさまざまな人を飲み込みながら、抱腹絶倒なコンサートを展開。
たとえば、「猫が寝転ぶ」というだじゃれ。「猫」と「寝転ぶ」ことには何の関係もない。 でも、まったくつながらなかったもの同士が、音によってつながる。 これって、芸術の本質を、だじゃれ自体が体現していることにほかならないんですね。*1
僕が勝手に「だじゃれ音楽」という名前だけを作ってみたんですね。すると、この言葉、人によって多様なイメージを持つんですよ、そこが面白い。 だから、一つの意味に限定せずに、だじゃれ音楽とは何なのか僕も考えているし、 皆もそれぞれ勝手に考えてる。
「これもだじゃれ音楽かもしれないな」「そっちもあり?」
とか色々と見つけていければいいなと思っているんです。*2 ―― 野村誠
*1 「季刊ホームシアターホワイエ」2013年(春号)掲載インタビュー記事より
*2 白坂ゆり|『音』は人や街を変えることができるのか?『音まち千住の縁』Vol.3 作曲家・野村誠、日本が変わるため『だじゃれ音楽』でおじさんとコラボ CINRA.NET(http://www.cinra.net/column/otomachisenju03-nomura.php )より
「フェルマータ」という音楽用語がある。「その音をのばす」という意味で、「停止」という意味のイタリア語からきているらしい。しかしこの言葉、よく見ると、その中にさまざまな日本語が隠されている。「笛」「増える」「待った」「舞った」……。そんなだじゃれ的発想から、どんな音楽が奏でられるのか、あれこれ試す。演奏者が「笛」を吹き、誰かが「待った」をかけたとき、一斉に「フェルマータ」。この流れを繰り返しながら、「笛」を吹く人が「増え」ていく。やがて、スタッフの「丸田」さんが登場し、「舞い(舞った)」、最後に奏者全員でフェルマータのかたちになって礼。こうして作曲されたのが、「だじゃれ音楽」の代表作『笛るマータ』だ。だじゃれ音楽は、誰かがアイディアを出せば出すほど、その意見を吸収して発展を遂げる。そして、その途中で生じる意味の飛躍は、まったく予想だにしなかった発想をもたらすことも多い。
しかし、だじゃれをはじめとした「駄」なものは、一般的には蔑まれたり、無視されたりしがちなものである。僕たちは、千住のまちなかで「だじゃれを言ってください!」と突撃インタビューを敢行したものの、苦笑いとともに「私はだじゃれなんか言わないよ」「それどころじゃない」など、だじゃれを言わない言い訳ばかりが集まってしまった。このインタビュー映像は、千住だじゃれ音楽祭第一回定期演奏会「音まち千住の大団縁」で、『だじゃれは言いません』という曲になった。インタビューの中の「言い訳」の抑揚を、そのままヴァイオリンソロが美しい旋律にして映像と重奏する。「駄」なものの闇を、ヴァイオリンの奏楽に昇華させたこの作品は、東京藝大の松原勝也教授の華麗な演奏に聴衆が爆笑するという、不思議な光景を生み出した。
「飛躍」と「疎外」の狭間で揺れながら、僕たちは、新しいだじゃれ音楽のかたちをつくり続けている。
VIDEO
野村誠ふろデュース「風呂フェッショナルなコンサート」
2012年3月17日/会場=タカラ湯/出演=野村誠、秋庭潤、浅野裕貴、磯上知子、梅澤妃美、岡田慎太郎、奥村円佳、小山内百合、尾花藍子、五十殿裕生、加藤千晴、苅部将大、栗生健二、講神雅人、胡舟ヒフミ、小日山拓也、Josh Rickard、竹井富士樹、多田峻汰、多田ともや、田中勝久、千ヶ崎桜子、千ヶ崎理子、千ヶ崎嘉彦、富永哲也、新倉壮朗、永井祐介、まく、三浦陽大、三宅博子、村松碧菜、安本拓治、横江れいな/協力=タカラ湯
だじゃれ音楽体験ワークショップ
2012年11月17日/会場=東京藝術大学 千住キャンパス 第7ホール/出演=野村誠
子どもだじゃれ音楽ワークショップ
2012年11月18日/会場=東京藝術大学 千住キャンパス 第7ホール/出演=野村誠
野村誠ピアノソロ・コンサート「Lettuce play the piano」
2013年1月19日/会場=東京藝術大学 千住キャンパス 第7ホール/出演=野村誠、宮田篤、勝木菊江、ポジティブワンダーランド、スカッタート、冗談新橋ライン、ADACHI HIPHOP Projectチームふぃれっく、だれじゃん、芸大チェッカーズ、ほくさい音楽博、だじゃれ音楽研究会、長谷川勝美、熊倉純子、横田博文、千ヶ崎嘉彦、松浦史子、加藤チャーリー千晴
千住だじゃれ音楽祭 第一回定期演奏会 「音まち千住の大団縁」
2013年3月16日/会場=東京藝術大学 千住キャンパス 第7ホール/出演=野村誠、梅津和時、大田智美、田中悠美子、中原雅彦、松原勝也、宮田篤、双木美和子、野崎めぐみ、樋口さゆり、ADACHI HIPHOP PROJECT、だじゃれ音楽研究会、堀江慶子/映像=樂 FACTORY 有限会社、大瀧光司、田島由深/協力=学園通り、宿場町通り商店街、本町センター商店街、ミリオン通り商店街、千住街の駅、千住本町五町会
千住だじゃれ音楽祭 国際交流企画第1弾:インドネシア編 レクチャー&コンサート「メメットを藝大に歓迎だい!」
2013年11月10日/会場=東京藝術大学千住キャンパス スタジオA/出演=野村誠、メメット・チャイルル・スラマット、だじゃれ音楽研究会、小川実加子、松澤佑紗、リンズィ・ドゥガン、東京藝術大学ジャワガムランクラブ Titik Suara、東京音楽大学ジャワガムラン部、熊倉純子、アナック・アグン、だじゃレンジャー
千住だじゃれ音楽祭 国際交流企画第2弾:タイ編 レクチャー&コンサート「タイのアナンを藝大に歓迎タイ!」
2014年3月16日/会場=東京藝術大学 千住キャンパス スタジオA/出演=野村誠、アナン・ナルコン、アドゥン、だじゃれ音楽研究会、小川実加子、松澤佑紗、リンズィ・ドゥガン、上遠野文音
2014 02 04
千住だじゃれ音楽祭 国際交流企画第2弾:タイ篇 レクチャー&コンサート「タイのアナンを藝大に歓迎タイ!」
2013年7月4日 チェンマイ大学内
日程:3月16日(日) 17:30開演(17:00開場)
会場:東京藝術大学 千住キャンパス スタジオA[足立区千住1-25-1]
アクセス:北千住駅(西口)から徒歩約5分
料金:無料(要申込・定員先着100名) ※お子様連れでもご入場いただけます
※お席に若干の余裕がございますので、当日受付を実施させていただきます。
予約なしでも、ご来場ください
出演:野村誠、アナン・ナルコン、アドゥン、だじゃれ音楽研究会、
出演: 小川実加子/松澤佑紗/リンズィ・ドゥガン(東京藝術大学大学院 音楽研究科 邦楽専攻)、
出演: 上遠野文音(東京藝術大学 音楽学部 邦楽科)ほか
【お申し込み・お問い合わせ】
[WEBフォーム] http://aaa-senju.com/contact
[お電話] 03-6806-1740(13~18時、火曜・木曜除く)
[メール] info@aaa-senju.com
件名を「レクチャー&コンサート『タイのアナンを藝大に歓迎タイ!』」とし、
代表者氏名(ふりがな)、ご連絡先(電話番号・メールアドレス)、参加希望人数をお伝えください。
※「info@aaa-senju.com」からのメールを受信できるように設定してください。
※個人情報は厳重に管理し、本事業の運営およびご案内にのみ使用します。
関連イベント
タイの民族音楽学者アナン・ナルコンによるレクチャー
日程:3月14日(金) 19:00開演(18:30開場)
会場:東京藝術大学 千住キャンパス スタジオA[足立区千住1-25-1]
アクセス:北千住駅(西口)から徒歩約5分
料金:無料(申込不要)
出演:アナン・ナルコン、野村誠
お問い合わせ:
「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」事務局
[電話] 03-6806-1740 ※会場到着が開演後になる方は、こちらにお電話ください
昨年秋より、海外からのゲストを迎えて国際的な展開をみせている「千住だじゃれ音楽祭」。前回はインドネシアより作曲家のメメット・チャイルル・スラマット氏を迎えて多種混合の演奏会を行いましたが、今回は同じく東南アジアのタイより、民族音楽学者のアナン・ナルコン氏を招聘。タイの伝統音楽や日本の伝統音楽を織り交ぜながら、千住の地域にもはや根付いた一種の民族音楽=「だじゃれ音楽」を共に研究し、その成果を発表するコンサートを開催します。今秋の実現をめざしている「千住の1,010人」大規模演奏会に向けて、だじゃれ音楽の未だ見ぬ新しい地平をグングン切り開きます。音楽学者を交えてこれまでにない視点で奏でられる「だじゃれ音楽」をぜひ体感してください!
アナン・ナルコンは、ユーモア溢れたお茶目な音楽家です。どこまでが真面目で、どこからがふざけているか分かりません。とにかく、何でもやる人です。東南アジア各地に調査に出かける民族音楽学者ですが、プログレが好き。民族楽器はほとんど何でも演奏できてしまうが、チェロやフルートも演奏し、作曲にはコンピュータを使う。映画音楽の作曲家もすれば、ラジオ番組のパーソナリティーも務め、司会者もする。「のだめカンタービレ」も読んでいる。大学の講義では、学生がいつも爆笑。この人はコメディアンのような音楽学者なのです。「だじゃれ音楽」にぴったりな音楽家です。(野村誠)
アナン・ナルコン|Anant Narkkong
タイ民族楽器奏者(ピア・ピーパット等)/民族音楽学者。タイ出身・在住。
実験音楽グループ「コーファイ|Korphai」主宰。講師としてマヒドン大学(タイ王立大学)にて教鞭をとり、現在はシラパコーン大学(タイ国立大学) で、民族音楽学の教授を務めている。野村誠らとともに即興パフォーマンスユニット「アイ・ピクニック|I-Picnic」としても活動し、2009年には国際現代音楽祭「コントラステ・フェスティバル」(オーストリア)に招聘され、国際交流基金の助成を受け、セミナー・映像作品上映・ワークショップ・コンサート等を実施。ペルヒトルツドルフ(オーストリア)でも公演と子供を対象にしたワークショップを行った。
2013 09 12
千住だじゃれ音楽祭 レクチャー&コンサート「メメットを藝大に歓迎だい!」
2011年4月『地球の日』 ジョグジャカルタでの野外パフォーマンス
日程:11月10日(日)17時30分 開演(開場:17時)
会場:東京藝術大学 千住キャンパス スタジオA[足立区千住1-25-1]
アクセス:北千住駅(西口)から徒歩約5分
料金:無料(要申込・先着100名) ※お子様連れでもご入場いただけます
出演:野村誠、メメット・チャイルル・スラマット、だじゃれ音楽研究会、
出演: 小川実加子/松澤佑紗/リンズィ・ドゥ ガン(東京藝術大学大学院 音楽研究科 邦楽専攻)、
出演: 東京藝術大学ジャワガムランクラブ Titik Suara
【お申し込み・お問い合わせ】
[お電話] 03-6806-1740(13~18時、火曜・木曜除く)
件名を「レクチャー&コンサート『メメットを藝大に歓迎だい!』参加希望」とし、
代表者氏名(ふりがな)、ご連絡先(電話番号・メールアドレス) 、参加希望人数をお伝えください。
※ご応募多数につき、立ち見となる可能性がございます。
お身体の不自由な方やご高齢の方は優先的にお席へご案内させてい ただきますので、
あらかじめお申し付けください。
※個人情報は厳重に管理し、 本事業の運営およびご案内にのみ使用します。
「頑張る」「あらま」「アカン」「イカン」「オタク」… これら の日本語には、共通点があります。実は、これらの言葉、 インドネシア語ではまったく別の意味を持っているのです。3月に第一回定期演奏会を開催し、 大盛況に大団縁を迎えた千住だじゃれ音楽祭。この秋からは、ガラリと趣向を変えてお送りします!日本語に似ていると言われるインドネシア語との関係を深 く探り、だじゃれの作法や技法を今一度見つめ直し、 ガムランや邦楽の要素を取り入れながら「だじゃれ音楽」 をさらにさらに前進させます。そのために、インドネシアの作曲家、メメット・チャイルル・ スラマット氏をジョグジャカルタから招聘。野村 × メメットの創り出す、 日本とインドネシアの言語や音楽が飛び交う新たな「 だじゃれ音楽」の形を、ぜひ体感してください!
インドネシア国立芸術大学ジョグジャカルタ校で作曲を教えるメメット ・チャイルル・スラマットは、非常にユニークな作曲家/ 即興演奏家です。インドネシアのさまざまな民族楽器を集めた自身のグループ「Gang sadewa」の名前は、実はだじゃれなのです。インドネシアの最多出演者記録である1,700人での演奏を作曲 ・指揮したこともあります。だじゃれを愛し、1,700人の音楽を経験済みのメメットとあら ば、「千住で1,010人の音楽会」 が実現できるかもしれません。今回は、 それに向けてのキックオフ・イベント。 メメットさんを千住にお招きし、 彼のユニークな音楽を体験します。また、インドネシアのガムランで「だじゃれ音楽」に挑みます。
( 野村誠)
メメット・チャイルル・スラマット
作曲家/フルート・オカリナ・スリン( インドネシアやフィリピンで使用されている竹製の笛)奏者。
インドネシア出身・在住。インドネシア国立芸術大学講師。 民族楽器バンド「ガンサデワ|Gangsadewa」主宰。 主な公演歴は、シドニー・オペラハウスやメルボルン・ アートセンター(2010)でのパフォーマンスなどがある。